
オフショア開発会社を変更したくなったら。失敗しないベンダー切り替えの方法
2026.3.2
弊社モアアジアには、すでに他社でオフショア開発をご利用のお客様から、さまざまなご相談をいただきます。
特に多いのは、
「伝えたことが正確に伝わっていない」
「ベトナム人エンジニアに仕様を伝えるのが大変で工数がかかる」
「スケジュール通りに進まない」
といった理由で、オフショア開発の継続やベンダーの乗り換えを検討されるケースです。
そこで今回は、オフショア開発がうまくいかなかった場合に、委託先を変更するべきかどうかの判断基準や、ベンダーを切り替える際に失敗しないためのポイント・注意点について解説します。
1. オフショア開発が失敗しやすい主な原因
オフショア開発でよく起こる問題として、以下5つが挙げられます。
- コミュニケーションがうまくいかない
やってほしいことが正確に伝わらない、意思疎通が難しい。 - コードレビュー等で同じ指摘を何度も繰り返す
- タスク管理が不十分でスケジュール通りに進まない
- 品質面が心配
バグが多い、リグレッションテストが不十分など - レスポンスが遅い、報連相ができていない
小さな不安から大きなトラブルにつながるケース

2. まずは既存ベンダーで問題を解決できるか確認する
ベンダーを変更することは簡単ではなく、新しいオフショア開発会社に切り替えても、同様の問題が起こる可能性があります。
まずは、既存ベンダーとの関係を改善できないか検討することが重要です。具体的には以下のような対策があります。
1. コミュニケーションがうまくいかない場合
・会話は簡潔に、ゆっくり話す
・会話が苦手なブリッジSEにはテキスト併用
・ブリッジSEの関係者(営業・マネージャーなど)にサポートを依頼
・必要に応じてブリッジSEを変更
2. コードレビュー等で同じ指摘を何度も繰り返す場合
・指摘内容をまとめて常にメンバーが確認できる状態にする
・改善が難しい場合は営業担当に相談する
3. タスク管理が不十分でスケジュール通りに進まない場合
・タスク管理をベンダー任せにせず、クライアント側でも確認
・毎日進捗報告をするようにする
・JiraやBacklogなどのツールで期限を設定し、期日を明確化
4. 品質面が心配な場合
・スケジュールに余裕を持たせ、テストや検証を十分に行う
・テスターの追加や指導、必要に応じて交代も検討する
・プロダクト知識が少ない場合は説明時間を十分に確保する
5. レスポンスが遅い、報連相ができていない場合
・報告ルールを明確に決める
・技術調査や進捗報告にクライアントから確認を入れる
・遅い場合は営業を通して改善指導
といったことがことが挙げられます。
3. オフショア開発の特性を理解する
オフショア開発では、日本人の感覚通りには進まない部分があるのが前提です。
その分、開発コストは抑えられており、国内開発と同じ水準の手厚さや自走力を最初から期待するのは現実的ではありません。
特にラボ型開発では、開発を完全委託するのではなく、ベンダーと一緒にプロジェクトを進める意識が重要になります。
文化や考え方の違いを理解しつつ、重要なルールや守ってほしいことを丁寧に教え込むことが、関係改善・プロジェクト成功につながります。
また、ベンダーを継続した期間だけ、お互いに理解が深まり、ベンダー側(オフショアメンバー)にもプロダクトの知識がストックされていきます。
オフショアメンバーに知識が蓄積されれば、コストはそのままで、より迅速かつ高品質な開発が可能になります。
思うように進まないと、途中でベンダーを切り替えたくなるケースもありますが、まずは関係改善と継続の道を探ることをお勧めします。

4. ベンダー切り替えを検討するタイミング
既存ベンダーで改善が難しい場合、以下の状況では切り替えを検討します。
・ベンダー側に何度指導しても同じことを繰り返す、コミットする気持ちが見えない
・お互いの関係がなかなか改善せず、結果的にクライアント側の工数・費用がかさむ
・ベンダーの営業担当に相談しても、改善策をとってくれない
・管理が不透明で不信感がある
切り替えの際は、新しいベンダーが既存ベンダーの問題を解決できるかを事前に確認することが重要です。
また、オフショア開発を使う場合はブリッジエンジニアとの面談を必ず行いましょう。N1,N2といった言語レベルだけで判断するのではなく、技術的な質問について受け答えができるかを含めて事前に会話をしておいた方が良いです。
スケジュールや品質にコミットするために、どのような意識を持っているのかも質問しておくと良いです。
5. オフショア開発会社を変更する5つの手順
オフショア開発のベンダー変更を検討する場合、単純に現在のベンダーとの契約を終了して、新しい会社へ開発を依頼すればよいわけではありません。
開発途中でベンダーを変更すると、仕様やソースコード、開発環境などの引き継ぎが必要になるため、事前の準備が重要です。
ここでは、オフショア開発のベンダーを変更する際の基本的な5つの手順を紹介します。
STEP 1:現在の問題を整理する
まずは、現在のベンダーに対して感じている課題を整理しましょう。
「コミュニケーションがうまくいかない」「品質に問題がある」「納期が遅れている」など、問題をできるだけ以下のように具体化することが重要です。
・仕様の認識齟齬が頻繁に発生している
・問い合わせや依頼へのレスポンスが遅い
・納期遅延が繰り返されている
・成果物の品質が安定しない
・プロジェクトの進捗状況が把握しづらい
・PMやBrSEとのコミュニケーションに課題がある
単に「今のベンダーに不満がある」という状態で変更すると、新しいベンダーでも同じ問題が発生する可能性があります。
そのため、「何が問題なのか」「なぜ問題が起きているのか」「新しいベンダーには何を求めるのか」まで整理しておくことが大切です。
STEP 2:契約・ソースコード・ドキュメントを確認する
次に、現在のベンダーとの契約内容や、開発に必要な情報・成果物を確認します。
特に、以下のような項目はベンダー変更前に確認しておくとよいでしょう。
・契約期間や解約条件
・ソースコードの所有権や利用権
・設計書や仕様書などのドキュメント
・Gitなどのソースコード管理環境
・AWSなどのインフラ環境
・開発・検証環境
・外部サービスやAPIのアカウント
・テストコード・テスト仕様書
・現在の未対応タスクや既知の不具合
特に注意したいのが、「現在のベンダーしか把握していない情報がどれだけあるか」です。
ソースコードがあっても、仕様や設計意図がドキュメント化されていなければ、新しいベンダーが内容を理解するまでに時間がかかる場合があります。
そのため、契約上の引き継ぎ条件だけでなく、実際の開発に必要な情報まで整理しておくことが重要です。
STEP 3:新しいベンダーを比較する
現在の課題を整理したら、新しいベンダーを探します。
このとき、単純に「開発費用が安いか」だけで比較するのではなく、現在の課題を解決できる体制があるかを確認することが重要です。
特に開発途中でのベンダー変更では、既存システムのキャッチアップ能力や引き継ぎ体制も重要な選定ポイントになります。
STEP 4:引き継ぎ計画を作成する
新しいベンダーが決まったら、現在のベンダーから新しいベンダーへの引き継ぎ計画を作成します。
引き継ぎの対象には、ソースコードやドキュメントだけでなく、システムの仕様や現在抱えている課題なども含まれます。
また、引き継ぎ期間中に新しいベンダーが既存システムについて質問できる体制を用意しておくことも重要です。可能であれば、「何を」「誰から」「いつまでに」引き継ぐのかを事前に決めておくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。
STEP 5:並行期間を設けて切り替える
最後に、新しいベンダーへ開発を移管します。
可能であれば、いきなりすべての開発を切り替えるのではなく、一定期間は既存ベンダーと新しいベンダーを並行して稼働させる方法もあります。
例えば、最初は新しいベンダーに既存システムの調査や小規模な改修を担当してもらい、システムへの理解度や開発品質を確認します。そのうえで、問題がないことを確認しながら徐々に担当範囲を広げていきます。
ただし、並行期間を設ける場合は、その分のコストや既存ベンダーとの契約期間も考慮する必要があります。
ベンダー変更は「契約を切り替える日」ではなく、「新しいベンダーが安定して開発できる状態になるまで」を含めて計画することが重要です。
6. ベンダー変更時に注意したい5つのリスク
オフショア開発会社を変更すると、現在抱えている問題を解消できる可能性がある一方で、開発途中での引き継ぎによって新たなリスクが発生する場合もあります。
ベンダー変更を進める前に、以下のようなリスクを把握しておきましょう。
1. ソースコード・ドキュメントの引き継ぎ
最初に注意したいのが、ソースコードや設計書などの成果物を新しいベンダーへ適切に引き継げないケースです。
ソースコードだけではシステムの仕様や設計意図を把握できない場合もあるため、関連するドキュメントや開発環境、設定情報なども含めて確認する必要があります。
また、契約内容によっては、ソースコードやドキュメントの取り扱いに条件が設定されている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
2. プロダクト知識の喪失
長期間開発に携わってきたベンダーは、ドキュメントに記載されていない仕様や、過去の経緯を把握している場合があります。
ベンダーを変更すると、こうした知識が失われ、新しいベンダーがシステムを理解するまでに時間がかかる可能性があります。
そのため、引き継ぎの際には、「何が作られているか」だけでなく、「なぜその仕様になっているのか」まで共有することが重要です。
3. スケジュール遅延
新しいベンダーがシステムや仕様を理解するまでには、一定の時間が必要です。
そのため、通常の開発に加えてキャッチアップの期間が発生し、一時的に開発スピードが落ちる可能性があります。
特に開発途中でベンダーを変更する場合は、現在の開発状況や未対応タスクを整理し、移行期間を含めたスケジュールを設定することが重要です。
4. コスト増加
ベンダー変更には、単純な開発費用だけではなく、引き継ぎや既存システムの調査にかかる工数も発生します。
また、既存ベンダーと新しいベンダーを一定期間並行して稼働させる場合は、二重で費用が発生する可能性もあります。
そのため、ベンダー変更によって開発費が下がるかどうかだけではなく、引き継ぎに必要な初期コストや移行期間中の費用も含めて検討することが大切です。
5. 新しいベンダーでも同じ問題が起きる可能性
ベンダーを変更したからといって、必ず問題が解決するとは限りません。
例えば、現在の問題の原因が「仕様が曖昧」「役割分担が不明確」「社内の意思決定に時間がかかる」といった発注側・開発側双方の進め方にある場合、ベンダーを変更しても同じ問題が発生する可能性があります。
そのため、ベンダー変更を検討する際は、「現在のベンダーが悪いから変更する」という視点だけではなく、「なぜ問題が発生したのか」を整理することが重要です。
新しいベンダーを選定する際にも、現在の課題を共有したうえで、どのような体制・進め方で改善するのかを確認しておくとよいでしょう。
7. モアアジアの取り組み
お客様の長期的なパートナーになるために、モアアジアが行なっている取り組みの一部をご紹介します。
■日本・世界水準の品質を提供(ISTQBのPlatinum Partner)
モアグループでは情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である ISO/IEC 27001の認証を取得し、国際基準に準拠したセキュリティ体制を構築しています。
あわせて、ISO 9001、CMMIレベル3、ISTQBなどの各種認証も取得しています。
また、世界中の様々な国のクライアントへサービスを提供していますが、日本企業への開発実績が最も多く、日本式のプロジェクトの進め方・仕事の進め方を開発拠点のベトナムに定着させています。
■「日本人ディレクター」「日本人デザイナー」が在籍
日本人ディレクター(インハウス)も必要に応じてプロジェクトに参加します。ニュアンスレベルでのコミュニケーションが可能なため、オフショア開発で課題になりがちなコミュニケーション面を細やかにフォローいたします。
また、日本人デザイナーも在籍しておりますので、ベトナムオフショアが得意とはしていないデザイン面についても、しっかりフォローし、UI/UXの品質を向上させることが可能です。
日本人デザイナーが在籍するオフショア開発のメリット
日本人ディレクターが在籍するオフショア開発のメリット
■「全社」でお客様のプロダクトの成功にコミットする
お客様のプロジェクトには専任の担当メンバーをアサインしますが、弊社ではそのメンバーにすべてを任せきりにすることはありません。担当メンバーに加えて、社内のマネージャークラスが技術的なサポートを行い、営業担当もお客様のご要望や背景について継続的に共有・議論します。実際に、お客様とのチャットツールやプロジェクト管理ツールには、マネージャークラスや営業担当も参加し、担当メンバーの状況確認や進行管理を行っています。
このように弊社では、特定の担当者だけでなく、全社体制でお客様のプロダクト成功にコミットしています。

まとめ
オフショア開発がうまくいかないと、ベンダーの切り替えを検討したくなるものですが、多くの課題は既存ベンダーとの関係改善で解決できる可能性があります。
オフショア開発の特性を理解し、ルールの明確化や丁寧なコミュニケーションを重ねることで、品質や進行は改善していきます。
また、ベンダーと継続して取り組むことでプロダクト知識が蓄積され、結果としてスピード・品質の向上につながる点も重要です。
一方で、改善の意思が見られず信頼関係を築けない場合には、切り替えを検討する判断も必要です。
感情的に決断するのではなく、「改善の余地があるか」「長期的なパートナーになり得るか」という視点で、冷静に判断しましょう。
ちょっとしたご要望やご不安・気になる点などあれば、お気軽に弊社モアアジアにご相談ください。
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